アンティーク時計の場合は特に、修理後や購入後、しばらくして動かなくなることがあります。
原因は必ずしもお店側ではなく、時計自体の問題であったり、使用方法によるものであったり、もちろん修理によるものであったりします。
「しばらく」して動かなくなったという、しばらくはどのくらいの期間ですか?
修理や購入後すぐ、例えば受け取ったその日や数日のうちに問題が起きた・故障したという場合には、修理や調整の問題であることが考えられます。
修理後の時計やオーバーホールされた時計を購入された場合、万全の調整を行って、動作確認が行われているはずですが、テストはあくまでテストであって、実際に利用される状況とは違います。
そのため、特にアンティーク時計の場合はそうですが、確認段階ではわからなかった・認識できなかった部分が原因となって、故障や動かなくなる原因になっていることは考えられます。
数週間・数か月使ってから問題が起きた場合には、調整時の問題というよりも、機械自体や使用方法が原因であることがより考えられます。
最もよくある問題は、利用によって引き起こされるもので、時計自体が磁気を帯びてしまっていたり、なにかの際に衝撃や力が加わって部品に問題が出ていることです。
アンティーク時計は、ほとんどの時計が「磁気に対する耐性」がありません。
そのため強い磁気に近づけると、時計の動作に関係する繊細な部品が磁気を帯びてしまい、正常に動かなくなってしまうことがあります。
磁石に近づけたりしていない・テレビや携帯電話にも近づけた覚えが無いという場合でも、時計を着けて外出をするような場合、思いもしない場所に強い磁気のあることがありますので、それが原因で磁気を帯びてしまっている可能性があります。
また衝撃や力が加わるようなことが思い当たらない場合でも、低いところから落としただけでも、向きが悪かった・当たった場所が固かったなど、運が悪ければそれが問題を引き起こすことがあります。
これらが原因となる場合は、使用方法によって引き起こされたもので、通常は修理においても購入されたものでも、保証の対象にはなりません。
またもう1つの原因としては、時計自体の部品の破損や劣化が挙げられます。
金属疲労などが原因で部品に破損が起こったり、ぜんまいなどの消耗品は前触れもなく切れてしまうことがあります。
金属で作られている時計の部品は、アンティーク時計の場合は特に、必ず劣化や摩耗は程度を問わずにあるものです。
どの時点でどの部品が壊れてしまうのか、どのくらいこの部品がもつのかは、ほとんどの場合で技術者にもわかりません。おおよそ壊れるものでないような部品でも、何かの原因で壊れることもありますし、ぜんまいを新しいものに変えたとして、それが通常なら10年使えるものであっても、運悪くすぐに切れてしまうことも無いわけではありません。
この辺りはアンティーク時計に限らず、身近な例では新しい電球を買ってきて交換した場合などにも、同じようなことが起こるはずです。
電球は通常なら数年取り換えなくてすむはずですね?それが数日・数か月など、短い期間で切れてしまうことがあるのに似ています。
このような時計自体や部品の原因によって引き起こされる故障や問題は、お店側ではわからない部分で「修理」に関係しない時計自体の問題ですので、基本的には修理では保証されない部分です。
購入された時計であれば、お店側で何らかの対応を取ってもらえることもありますが、それはそれぞれのお店の基準によります。